
「子供をイギリスに留学させたいけれど、実際のところどうなんだろう」
費用は高い、治安はいいらしい。そこまでは調べられても、現地で何が起きるのかまでは、なかなか出てきませんよね。
私は18歳の夏に1か月、19歳のときに1年間、イギリスの語学学校にいました。その後、息子と10日間のセブ親子留学も経験しています。

先に結論をお伝えします。英語がまだこれからのお子さんはセブ、ある程度話せるお子さんはイギリスです。理由は、レッスンの形がまったく違うからです。
この記事でわかること
- イギリスの語学学校で、1日がどう流れるのか(1か月・1年の両方)
- 行ってよかったこと、そして正直な後悔
- セブとイギリスを4つの面で比べた結果と、選び方
Contents
私のイギリス留学|18歳で1か月、19歳で1年
まず、私自身がどんな留学をしたのかをお伝えします。
私の留学
- 高校3年の夏休み:イギリスの語学学校に1か月
- 19歳:学校を休学して、イギリスの語学学校に1年
- その後:息子とセブへ親子留学10日間
滞在していたのは、イングランドのチェシャーという田舎町です。レンガ造りの家と道が続いていて、その辺の路地ですら物語の世界のように見えました。慣れるまでは、外を歩くたびに街並みに感動していたくらいです。
1か月の短期留学で、実際に起きたこと
最初の留学は、高3の夏休みの1か月でした。流れはこうです。
到着
空港には学校からお迎えが来ていました。交わした言葉は「Hello」と名前の確認くらいで、あとは車で学校まで送ってもらえます。お迎えが用意されている学校なら、英語が話せなくても到着のハードルは高くありません。
ただ、私は荷物が空港に届かないというトラブルに当たりました。

文法どころではなく「Where is my bag?」とだけ繰り返していましたが、意外とそれで伝わるものです。
学校
初日の午前中にレベル分けテストを受けて、午後からレッスンが始まります。授業は9時から16時までの1日6時間。
印象に残っているのが、休み時間ごとのティータイムです。コーヒーや紅茶のセットがテーブルに置いてあって、先生も生徒も一緒になって1日3回のお茶会がありました。

放課後は、校内の体育館と室内プールを自由に使えます。言葉が通じなくても、体を動かすとすぐに仲良くなれました。打ち解けるには、教室よりこちらのほうが早かったです。
週末
週末は各自で自由に過ごします。私は観光に出かけていました。日本でもろくに電車やバスに乗ったことがなかったので、不安しかありません。
ただ、その不安を抱えていたのは全員同じでした。クラスメイトと一致団結して出かけたのを覚えています。
1か月で、どこが変わったか
ペラペラにはなりません。思ったことをすぐ言える力も、つかないまま帰国しました。
それでも、変化はありました。
1か月で変わったこと
- 先生の言っていることが、何となくわかるようになった(話が想定外の方向にいくと、わからないまま)
- 英語だけの教科書や本を開くことに、抵抗がなくなった
- 伝えたいことが決まっているときは、事前に調べて暗記するので、使える英語が身についた
- 現地で会った友達とメールのやりとりが続いて、作文が少しうまくなった
- 日本に帰ってから、英語の授業の受け方が変わった
いちばん大きかったのは、最後の「授業の受け方が変わった」です。
留学前も英語は好きだったので、授業は真剣に聞いていました。でも、教えられたことをひたすら覚えていただけだったと思います。
帰国後は、全部をまるごと覚えるのをやめて、日常生活に置き換えるようになりました。「この言い回しなら、こういう場面で使えるな」「この連語、めっちゃ便利やん」という感じです。
勝手に状況を想像して、自分なりにアレンジする。これは生きた英語を身につけるのに欠かせない見方です。1か月で英語力そのものは伸びなくても、英語との付き合い方が変わったことが、その後の何年分かを決めました。
1年間の留学で変わったこと
19歳のときは、学校を休学して1年間行きました。
留学先は「語学学校」か「地元の高校・大学」で大きく分かれます。私は語学学校を選びました。
高校や大学に留学した友達の話を聞くと、授業を受けるだけでなくクラスメイトとディスカッションまでこなす必要があって、かなりハードです。当時の私に耐えられたかというと、正直あやしいです。
語学学校を選んでよかったのは、この3つがそろっていたからです。
語学学校がよかった理由
- 英語がわからなくて当たり前、という環境
- クラスメイトがフレンドリー
- 観光に出かけやすい
最初は、授業もたわいない雑談も、何もかもわからなくて撃沈しました。レベル分けテストを受けて自分に合ったクラスにいるはずなのに、先生の言っていることがわからないんです。
それでも「帰りたい、もう嫌だ」と思ったことは一度もありません。先生もクラスメイトも、わからないことを前提に迎えてくれたからです。
変化は、英語以外にもありました。
休学する前、私は学校の人間関係に悩んでいました。でも帰国したときには、その悩みが吹っ切れていたんです。宗教、食べ物、文化、性格。何もかもが違う場所にいたことで、自分のことを見つめ直せたんだと思います。

正直に言うと、後悔もあります
いいことばかり書いてもしかたないので、後悔も残しておきます。
ひとつは、お金です。
当時、夏休み中のイギリス直行便は、航空券だけで約30万円かかったそうです。そこに語学学校の費用が乗ります。親になった今、改めて金額の重さがわかりました。
もうひとつは、帰国後のコンプレックスです。
目に見える形で英語力が伸びたわけではなかったので、「留学したのにこの実力か」と恥ずかしくなり、しばらく留学経験者であることを隠していました。好きだったはずの英語に、苦手意識を持つという本末転倒なことになっていたんです。
今は、自信を持って「行ってよかった」と答えられます。英語の実力だけで価値を測ると残念な気持ちになりますが、人生経験としては間違いなく大きかったからです。

イギリスはどんな国だったか

地図にある4つの国を合わせて「イギリス」と呼びます。私はそのうちイングランドのチェシャーにいました。
治安|親がいちばん安心する点
私がイギリスを選んだ理由は、「街並みがきれいそうだから」という、ずいぶん呑気なものでした。
ただ、両親はこの選択を喜んでいたそうです。理由は治安の心配が少ないから。親になった今、その気持ちがよくわかります。子供を一人で海外に出すわけですから、まず安全面が気になります。
場所にもよりますが、イギリスの治安はいいです。日本と同じ感覚で大丈夫とまでは言えないものの、一人で歩いているから危険ということもなく、本当に「ふつう」に過ごせました。
食事と物価
イギリスの料理は「まずい」と言われがちですが、私は十分おいしくいただきました。
学校の寮の食事は毎食ポテトが出てくるので、習慣の違いは感じます。スーパーのサンドイッチのパンもぱさぱさしていました。それでもすぐに慣れます。
物価は全体的に日本より高いと言われますが、中身を分けて見ると違います。贅沢品はかなり高い一方で、スーパーの食料品は日本とあまり変わりません。私は田舎に住んでいて贅沢品も買わなかったので、日本との差はあまり感じませんでした。
イギリス英語とアメリカ英語は、何が違うのか

日本の学校で習うのはアメリカ英語です。私はそれすら知らずに行きました。
現地の先生に「日本では、アメリカ英語とイギリス英語のどちらを学んできたの?」と聞かれて、きょとんとしたのを覚えています。
違いは、発音だけではありません。
| イギリス | アメリカ | |
|---|---|---|
| 発音【Car】 | 【kaː】Rを発音せず「カー」 | 【kar】Rを発音して舌を巻く |
| スペル【ourとor】 | colour | color |
| 言い方【紙幣】 | note | bill |
当時この違いを知らなかった私は、しばらく混乱しました。
ただ、「ひょっとしてアメリカ英語と違うのかな」と気づければ大丈夫です。調べればすぐに解決します。
「イギリス英語は聞き取りにくい」という声をよく聞きますが、私はハキハキ話すイギリス英語のほうが聞き取りやすく感じました。慣れてくると、アメリカ人の英語を聞き取るほうが苦手になっていたくらいです。逆にアメリカ英語に慣れている友人は、イギリス英語が聞き取りにくいと言います。結局は慣れです。
セブとイギリス、どちらがうちの子に合う?

ここからは、セブ留学とイギリス留学を4つの面で比べます。
① 英語のレベルで選ぶ
セブで学べるのはアメリカ英語です。
セブの方の母国語はビサヤ語(セブアノ語)ですが、幼稚園から英語に触れ、小学校の授業は英語で行われるため、英語力はかなり高いです。実際、観光先でもタクシーでも、どこでも英語が通じました。
そしてセブの方の英語は、ネイティブより話すスピードが遅く、スラングも少ないので、とても聞き取りやすいです。フィリピン訛りは感じますが、どの国の英語にも訛りはあります。気にするほどのものではありませんでした。
一方イギリスは、本物のネイティブ英語にどっぷりつかれます。特に田舎は日本人が少ないので、逃げ場がありません。
どちらを選ぶか
英語がまだこれからのお子さんはセブ。すでに話せて、本格的な英語を聞き取る力をつけたいならイギリスです。
② レッスンの形で選ぶ
ここがいちばん大きな違いです。
セブの語学学校は、マンツーマンがメインです。私がセブで受けたレッスンは1日6時間で、そのうち4時間がマンツーマンでした。先生と1対1なので、休む間もなく話すことになります。まじめに取り組めば、英語力はかなり伸びます。
日本資本・韓国資本の学校が多く、生徒はアジア出身がほとんどです。私のいた学校も、スイスの方が1人いた以外は全員アジア出身でした。
イギリスの語学学校は、グループレッスンが中心です。私のクラスは8〜9人でした。学校の英語の授業を英語で受ける感じで、先生の話がメインになります。
発表はありますが、順番に回ってくるので、自分が話す時間はマンツーマンよりずっと少ないです。積極的に発言できないと、授業だけではスピーキングが育ちません。
そのかわり、テーマに沿ってクラスメイトと議論する機会が多く、自然と仲良くなります。プライベートで出かけるほどの友達がたくさんできました。ヨーロッパ出身の生徒が多いので、英語以外に学ぶことも多かったです。
どちらを選ぶか
自分から英語で話しかけるのが苦手なお子さんは、セブのマンツーマンです。ふだん出会えない国の人と知り合ってほしいなら、イギリスです。
③ 費用と移動で選ぶ
| セブ | イギリス | |
|---|---|---|
| 飛行時間 | 4時間半 | 12時間(ロンドン) |
| 航空券 | 4万〜8万円 | 10万〜30万円 |
| 時差 | 1時間 | 9時間(サマータイム8時間) |
この3つを並べると、条件はセブのほうが明らかに有利です。物価も、セブはものによりますが日本の3分の1ほどで済みます。

④ 治安で選ぶ
「セブの治安はいい」と言われます。私もそれを鵜呑みにしていて、到着するなり驚きました。
貧富の差が、あちこちで目に入ったからです。安全と言われている場所でもひったくりは多く、ストリートチルドレンもいます。息子が一緒だったこともあり、外に出るときはいつも気を張っていました。
慣れれば平気という話も聞くので、ある程度は要領の問題です。ただ、東南アジアが初めてなら、街並みや雰囲気に驚くかもしれません。
イギリスは、先ほど書いたとおり落ち着いています。治安を最優先するなら、イギリスです。
国民性|どちらも、過ごしやすさは十分
セブの方は、本当にフレンドリーで陽気でした。街で会う人の多くがニコニコ笑いかけてくれて、「僕も日本に行ってみたくてね」と話しかけられることもよくありました。
イギリスの方は、日本人と感覚が似ています。不愛想でもなく、特別フレンドリーでもない距離感です。たまにアジア人だから下に見られたと感じたことはありましたが、これは国民性ではなく個人差だと思っています。

ここまでをまとめると
| セブ | イギリス | |
|---|---|---|
| 英語のレベル | 初級〜中級 | 中級以上 |
| レッスン | マンツーマン中心(話す量が多い) | グループ中心(友達ができる) |
| 費用・移動 | 安い・近い | 高い・遠い |
| 治安 | 気を張る場面あり | 落ち着いている |
| 出会う人 | アジア出身が中心 | ヨーロッパ出身が中心 |
行く前にやっておくと、留学の中身が変わること

短期留学でいちばんもったいないのは、「何となく聞き取れるようになった。でも話せるようにはならなかった」という状態で帰ってくることです。私の1か月が、まさにそれでした。
聞き取れるようになるだけでも十分すごいことですが、せっかくお金も勇気も出して行くなら、話すほうも伸ばしたいところです。
そのために効くのが、行く前に、片言でも英語を話すことに慣れておくことです。
話せる状態で現地に入ると、伸び方が変わります。コミュニケーションがスムーズになる→人と話す機会が増える→スピーキングが育つ→自信がついてもっと話す、という循環に入れるからです。
いちばん手軽なのは、オンライン英会話で外国人の先生と話す時間を作っておくことです。わが家は息子が小3から5年続けています。
イギリス留学のよくある質問
Q1. 英語が話せなくても、イギリスの語学学校に行けますか?
行けます。初日にレベル分けテストがあるので、自分に合ったクラスから始まります。先生もクラスメイトも「わからなくて当たり前」を前提に接してくれました。
ただし、グループレッスンが中心なので、話す量は自分から動く分だけになります。話す力を伸ばしたいなら、行く前に話し慣れておくか、マンツーマン中心のセブを選ぶほうが確実です。
Q2. 1か月の短期留学でも、意味はありますか?
あります。ただ、英語力が目に見えて伸びるとは考えないほうがいいです。
私の1か月で残ったのは、英語だけの本に抵抗がなくなったことと、帰国後に英語の授業の受け方が変わったことでした。英語との距離が縮まるのが、短期留学のいちばんの成果です。
Q3. 費用はどれくらい違いますか?
航空券だけで、セブは4万〜8万円、イギリスは10万〜30万円です。私が高3の夏に行ったときは、夏休みの直行便で約30万円かかりました。
ここに語学学校の費用と滞在費が乗ります。物価もセブは日本の3分の1ほど、イギリスは日本より高めなので、総額の差はさらに開きます。
Q4. 子供を一人で行かせるのは心配です。
その心配は当然です。私の両親がイギリスを喜んだ理由も、治安でした。
空港まで学校のお迎えがある、寮がある、日本人スタッフがいる。この3つがそろっている学校を選ぶと、親の不安はかなり減ります。学校を決める前に、この3点を必ず確認してください。
Q5. イギリス英語を学ぶと、学校のテストで困りませんか?
困りません。スペルや言い方に違いはありますが、数は限られています。colourとcolor、noteとbillのように、違和感に気づいたら調べる。それだけで解決します。
むしろ、同じ英語でも国によって違うと知っていること自体が、英語を広く見る力になります。
まとめ|どちらが向くかは、お子さんの今で決まる
セブとイギリス、どちらが優れているという話ではありません。お子さんの今の英語力と、何を持ち帰ってほしいかで決まります。
セブが向くのは、英語がまだこれからのお子さん。マンツーマンで話す量を確保でき、費用も移動も負担が軽くて済みます。
イギリスが向くのは、ある程度話せるお子さん。ネイティブ英語にどっぷりつかれて、ヨーロッパ出身の友達ができます。治安を最優先する場合も、イギリスです。
そして、どちらを選ぶにしても、行く前に話し慣れておくこと。これが現地での伸び方をいちばん左右します。
